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  Ⅱ 総合型地域スポーツクラブをつくってから

 総合型クラブを設立したあと、いよいよクラブの運営が本番をむかえます。万全の体制で設立総会に臨んだとしても解決すべき課題が次々とあらわれるものです。総合型クラブをさらに発展させるための留意点を次にあげます。

〈クラブ運営について〉
 総合型クラブの運営は、特定の個人の判断に委ねられるのではなくて、規約に基づいて選出された運営委員等で構成される運営委員会によって民主的に行われることが必要です。

〈運営委員会の役割〉
 運営委員会は、クラブの目的や会員の総意に沿って、クラブを民主的かつ円滑に運営することを任務とします。また、将来に向けたクラブのあり方や運営の仕方についての方向付けを行っていくことも大切な任務です。運営委員会が円滑に機能するためには、運営委員による定例の会議を開催することが大切になってきます。

〈事務局の役割〉
 総合型クラブを円滑に、しかも公正に運営していくためには、事務局の役割が重要です。事務局は、会員及び地域の窓口でもあります。事務局を開設している曜日や時間帯、連絡先などを会員ばかりでなく地域にも適切に情報提供していく必要があります。そして、できれば専任のスタッフを配置し、クラブの活動に関わる事務処理、会計処理、会計管理、施設の利用調整等の業務を一元化して、日常的に遂行できることが理想的です。
 専任の事務職員は必要な存在です。常勤であることが望ましいのですが、ここで最大の問題点は人件費です。財源をどのように確保するのか理想と現実のギャップがでてきます。多くの既存のクラブがこの問題で悩んでいることも事実です。


〈クラブマネジャーの存在〉
 総合型クラブは非営利の団体とは言っても一つの事業体であることには変わりません。多くの会員を抱え、複数のスポーツ活動を行う組織の経営管理を円滑に行うためには、クラブマネジャーの存在は欠かせません。
 クラブマネジャーとは、事業体としての総合型クラブ全体の経営管理を行う立場にある「人」のことをいいます。活動プログラムや各種目別の活動状況、運営委員会と指導者、クラブ会員数と財政状況など、クラブ全体について把握している人のことです。その期待される役割は、会員のニーズの把握に努めるとともに、会員のニーズにあったプログラムを運営委員やスポーツ指導者などとともに開発することです。さらに、クラブの運営管理に関わるさまざまな専門知識を有することも必要です。
 しかし、ひとりですべてを兼ね備えることは難しいことであり、有能な地域の人材を発掘し、協力を得ていくことも大切です。
 なお、ここでも最大の問題点は、雇用問題と人件費です。事務職員同様、既存の多くの総合型クラブがこの問題で悩んでいます。


〈財源の確保〉
 組織とその活動を支える財源の確保は、総合型クラブにとっても重要な課題です。総合型クラブの財源はさまざま考えられますが、総合型クラブの活動を安定的に行うためには、会費収入を基本としつつも、それぞれの地域やクラブの実情にあった多様な財源の確保に努めることが必要となってきます。
 総合型クラブの収入は①会費収入、事業収入、寄付金・協賛金、繰越金・雑収入等の自主財源、②自治体からの補助金、③他団体からの助成金収入によるのが一般的ですが、④指定管理者制度を活用し、公の施設管理や事業を受託して収入源としている総合型クラブも増えています。

1 自主財源
(1)会費収入
  クラブの運営を考えた場合、会費収入の占める割合が高ければ高いほど安定しますが、会費が
 高ければ地域住民の賛同が得られず、会員の増加を見込めません。一方で,安い会費設定では安
 定したクラブ運営は望めないというジレンマを抱えて、どの総合型クラブも判断に苦しみなが
 ら、会費設定をしているのが実情です。
(2)事業収入
  事業ごとに参加料を設定し、徴収しているのが一般的です。会費同様に参加料が高ければ参加
 が見込めない、安ければ運営費が捻出できないという構図は同じです。
(3)寄付金・協賛金
  現在の経済状況下では、個人や企業に対して寄付金・協賛金を期待することは難しい状況です。
 なかには上手に寄付金や協賛金を得ている総合型クラブがありますので、当センターまでご連絡
 いただければ、他の総合型クラブの成功事例を紹介します。

2 自治体からの補助金
  総合型クラブを行政主導で設立した場合、金額はさまざまですがクラブに対して運営費を補助
 している市町村も多く見られます。それ以外の市町村はスポーツ振興に対する考え方によってま
 ちまちです。自治体からの補助金なしで頑張っているクラブも数多くあります。また、総合型ク
 ラブに対する施設利用料の減免や施設の貸与など市町村の支援の仕方はさまざまです。

3 他団体からの助成
(1)スポーツ振興くじ(toto)
  現在totoの規定では、総合型クラブの自立支援ということで、事業費及び人件費の助成を最長
 五ヶ年間受けることができます。
  助成制度は魅力的ですが、助成を受けているうちに各クラブが財政基盤を確立し、自立してク
 ラブ運営できるかどうかがカギを握ります。
(2)宮城県教育委員会、宮城県スポーツ協会やみやぎ広域スポーツセンターからの助成。
  個別の事業に対する補助はあっても、クラブの運営費を助成する制度はありません。補助要
  項を確認のうえ、個別の事業にうまく活用していただきたいものです。
(3)総合型クラブへのスポーツ振興に対する助成制度は、toto以外に各種団体が行っています。
 本県の総合型クラブが過去に活用した助成制度をあげてみます。

 ○ 文部科学省    ・子どもの居場所づくり事業補助
 ○ 宮城県      ・みやぎNPO夢ファンド事業補助
 ○ 日本財団     ・公益・ボランティア支援事業補助
 ○ 笹川スポーツ財団 ・スポーツエイド事業補助
            ・チャレンジディ事業補助
 ○ (独)福利医療機構・障害者スポーツ支援基金事業補助
 ○ (財)国立青少年教育振興機構 ・子どもゆめ基金事業補助
 ○ 健康体力づくり事業財団    ・シニア体力アップステーション事業補助

 すでに事業が終了しているものもあり、また、新たに助成制度を創設している団体もあると考えられます。日頃から情報収集を心掛ける必要があります。

4 指定管理者制度
  指定管理者制度とは、自治体が住民の福祉増進を目的とした公の施設を、民間事業者や団体等
 を指定して管理運営させる制度です。指定する側の自治体は公共サービスの質を高めると共に管
 理費用を低く抑えることもこの制度のねらいとされています。
  しかし、公共施設の有効活用は図れても、総合型クラブの運営にとって必ずしも将来的に安定
 した財源となるとは言いきれない状況にあります。


〈活動プログラムの作成〉
 総合型クラブの活動プログラムは、可能な限り会員のニーズに対応した多種多様なプログラムであることが大切です。また、出来上がったプログラムは固定されることなく、参加した会員のアイディアを次々と生かしていくといった柔軟性が求められます。
 総合型クラブの中で会員に楽しんでもらおうと企画する人たちと、楽しむだけの人たちに分かれるのではなく、楽しむ側からも運営に参画し、楽しませる側に回れることが大切です。楽しむ側から楽しませる側へと仲間の輪を広げ、組織の新陳代謝を促すことで、総合型クラブの活性化を促す原動力となるのではないでしょうか。


〈広報活動の重要性〉
 総合型クラブをよりよいものにしていくためには、地域の方々にクラブがどのようなものか、クラブの目的や活動内容について理解してもらい、社会的な信用を得ながら多くの方々にともに活動してもらえるようにしていくことが大切です。
 そのために,地域の方々が総合型クラブに対して興味・関心を持ってもらえるように積極的な広報活動を行い、日ごろから地域住民に働きかける必要があります。
 広報の具体的な方法としては、ホームページの活用、チラシや情報誌といった印刷物を地域住民に配布するやり方が一般的です。自治体の掲示板に掲示するほか、自治体の協力で行政の配布物と一緒に全戸配布といった方法を取っているクラブもあります。
 また、総合型クラブの活動を活発に展開し、「参加してよかった、楽しかった」という“口コミ”に期待することも広報の一手段として有効です。


〈スポーツ指導者やスタッフの配置〉
 会員のニーズにきめ細かに対応するためには、質の高いスポーツ指導者や活動運営スタッフを出来るだけ多く配置することも必要です。
 有資格者の必要な種目の場合は、指導者には応分の謝金を支払うのが一般的ですが、その他の種目の指導者の場合は、交通費を支給する程度のボランティアが多いようです。
 しかし、ボランティアの場合は、年間を通した指導や何年か継続して指導をしていただけるのかが不明です。会員のニーズに応えクラブを発展させるためには、指導者に対して応分の謝金を支払うことで人材を確保すること望ましいのですが、ここでも財源の問題につながります。


〈NPO法人の取得〉
 特定非営利活動法人格を取得することによって、団体自身の名義において権利・義務の関係を処理できることから、指定管理制度の受け皿としてNPO法人格の取得を目指す総合型クラブが増えてきています。

1 NPOとは
  NPO(Non Profit Organization)とは、さまざまな社会貢献活動を行い、団体の構成員に
 対して収益を分配することを目的としない団体の総称です。したがって、収益を目的とする事業
 を行うこと自体は認められますが、事業で得た収益はさまざまな社会貢献活動にあてることにな
 ります。
  このうち『特定非営利活動法人』とは、特定非営利活動促進法に基づき法人格(個人以外で権
 利や義務の主体となり得るもの)を取得した団体です。
  NPOは、法人格の有無を問わず、さまざまな分野(福祉、教育・文化・スポーツ、まちづく
 り、環境、国際協力など)で、社会の多様化したニーズに応える重要な役割を果たすことが期待
 されています。

2 特定非営利活動法人制度とは
  法人格を持たずに活動している団体も多数あります。しかし、法人格を持たないと銀行口座の
 開設や事務所の賃借などを団体の名でできないなどの不都合が生じることがあります。特定非営
 利活動法人制度とは、こうした不都合を解消し、NPOの活動を促進することを目的に、NPO
 が簡易な手続きで法人格を取得できる仕組みです。
  自由な法人運営を尊重し、情報公開を通じた市民の選択・監視を前提に、所轄庁(事務所があ
 る都道府県の知事)の関与が極力抑制された制度となっている点が大きな特徴です。

3 法人格を取得した場合のメリット
  法人格を取得することによる一番の法的なメリットは、団体名義で契約の締結や土地の登記が
 できるなど、団体がいわゆる『権利能力の主体』となり、代表者個人の名義を使うことなく、団
 体名で権利・義務の関係を処理できる点にあります。
  リスクマネジメントの観点からも損害賠償等の責任を求められたりした場合、法人格を取得し
 ていれば代表者個人が責任を負わされることから免れることがメリットとなります。

4 法人格を取得した場合の義務
  法人は法律や定款で定められた範囲で権利・義務を負うことになりますので、法の規定に従う
 必要があります。
  例えば、所轄庁へ事業報告書を提出したり、市民に対して情報公開を行ったりするほか、事務
 所が所在する税務署、都道府県税事務所及び市町村に対して必要な届け出をする必要があります。

5 認証と登記
  特定非営利活動法人は、所轄庁の認証を受けただけでは法人として成立したことにはなりませ
 ん。認証された後、法令に基づいて登記してはじめて特定非営利活動法人として成立します。
 これは、登記が法人の成立要件であるためです。
  また、登記が完了したときは、遅滞なく登記簿謄本を添付した届出書を所轄庁に提出しなけれ
 ばなりません。


 

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